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高利回りビジネスの闇、高級腕時計レンタルスキーム

2021年から、高級時計の価格が急騰し始めた。その時計ブームに便乗したマッチングサービス「トケマッチ」のニュースが最近大きな波紋を呼んでいる。

2023年11月に投稿を予定していたブログ記事を書きかけていたが、結局それを投稿することなく封印してしまった。そして、たった2ヶ月後に、こんな事態になるとは予想だにしなかった。

「トケマッチ」については、ニュースやネット記事、YouTubeなどで多くの問題が取り上げられている。そのため、今更ここで詳細に触れる必要はないだろう。

しかし、この時計投資という観点から、次の詐欺事件を回避するヒントを探ることは重要だ。

ネットやニュースでは、この事業が最初から計画的に進められていたのではないかという意見も多いが、私はおそらく途中で計画が変更されたのだと予測している。

なぜなら、顧客から高級時計を預かりレンタルするシステムは、「トケマッチ」に限らず他にも存在する。他社がどのようにして存続しているかはわからないが、高級時計を月に2万から4万円で何ヶ月もレンタルする顧客がいるとは到底思えない。
確かに、服やバッグの高級レンタルビジネスは存在するが、時計の場合、レンタル時の傷や盗難、紛失などのリスクを考えると、それなりにシステムに保険を掛けるなどの準備が必要となり、その手間を考えると利益が合わなくなる。

私はこのシステムを不動産投資と置き換えて考えてみた。
不動産との決定的な違いは、時計は持ち逃げできるという点だ。
また、不動産と違い、所有権の登記などがなされていないので、シリアルナンバーだけでは所有者がわからない。
不動産の場合、入居者がその物件を盗むことは不可能である。

この業者は、「トケマッチ」以外にも不動産などのマッチングサービスも展開していた。勿論、それらも同時期に閉鎖されているが、総合的にビジネスが回らなくなり、集めた時計がかなりの額になることに気が付き、最後の解散時期に向けて、一気に時計を集め出したような気がする。
この時期がいつ頃からかはわからないが、初めからポンジスキームを行う予定ではなかったように感じる。

では、なぜ高級時計の所有者たちは簡単に時計を預けてしまったのだろうか?
実は私自身も、自分の時計を預けたら、どれくらいの収益になるのかシミュレーションをしていた一人だ。購入価格92万円のロレックスを月25,000円で預けると年間収入300,000円。
年利32.6%の高利回りをたたき出した!
しかし、規約を見てみると、預けた時計は半年間返せないと書いてあったため、結局、預けることなく事なきを得たのでのである。

そこで、ロレックスの正規店であるモデルの時計を購入した場合に、そのまま貸し出したら、どれくらいの収益利回りになるのかと、再度シュミレーションしたのが、冒頭のお蔵入りとなったブログ記事である。

さて、世の中には富裕層でなくとも高級時計を10本以上所有している人が多くいる。
彼らの中には、年1度も付けずにしまっている時計が数本あるはずだ。
この中から3本貸しておけば、そこそこの収入になる。
その収入を全てオルカンにぶち込んで新NISAで運用すると……。
これが、多くの人が時計を預けてしまった理由ではないだろうか?

結局、片方だけを見てしまう心理が詐欺のカラクリを見逃す結果に繋がってしまった。

教訓:王道以外の投資は全てゴミと心に刻む

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